この論文をさがす
説明
大動脈弁狭窄症 (AVS) は弁石灰化の進行により重篤化し、心不全や突然死などに至る心臓弁膜症である。弁異所性石灰化に寄与する原因細胞の同定及びその分子機構を解明するため、今回 AVS患者の大動脈弁から単離した大動脈弁間質細胞 (HAVICs) の初代細胞 (P1) を用い、免疫染色手法により解析した。P1細胞は間葉系幹細胞マーカー (CD73、90、105) が陽性である一方、造血幹細胞マーカー (CD34、45) が陰性であった。さらに、血管内皮細胞のマーカー、血管内皮増殖因子受容体 (VEGFR2) もすべての細胞で陽性だったが、平滑筋及び筋線維芽細胞のマーカー、平滑筋アクチン(α-SMA) 陽性細胞が約半数存在した。弁組織でも間質細胞全てが VEGFR2 陽性であったが、α-SMA 陽性の HAVICs が約15%存在することを確認した。また、ノンコーティングディッシュで単離・培養した P1細胞の分化能を調べたところ、コロニー形成能と骨芽細胞への分化能を認めた。非石灰化弁では CD34 陽性間質細胞が豊富に含まれることが知られている。以上の結果は、AVS患者から得た HAVICs が弁内皮細胞に由来することが考えられ、内皮間葉移行などにより CD34 陰性細胞へ分化して石灰化能を獲得した可能性を示唆している。
収録刊行物
-
- 弘前医学
-
弘前医学 72 (1-4), 96-, 2022
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390291767781225600
-
- NII書誌ID
- AN00211444
-
- ISSN
- 24344656
- 04391721
-
- HANDLE
- 10129/00007798
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可