抄録
<p>心の哲学史上のみならず自然科学的実験心理学成立以降現状においても心観(ならびに行動観など)の前提となる認識の枠組み(視点,パラダイム)の間の対立解消が図られてきたが解決にはなおほど遠い。典型例は心身二元論と一元論間にみられる。二元論から生じる難問,心身問題を解消する試みの結果精神物理学や新たな数理論理的究明,一方には心身医学がもたらされた。他方,一元論の内部では唯心論からの霊魂論をはじめ,意識・無意識論の対比は現状にも残る。唯物論(機械論)からは新たな動物観や行動論が提起された一方,認知科学(新たな心の科学)とその両輪となる人工知能(AI)研究が生まれた。これを可能にしたコンピュータ(情報処理装置)に脳を重ね,心をこの上で走るソフトウエアとみなす観点が提唱された。さらに現行の心理学の立ち上げの手本,古典物理学自体は相対性理論や量子力学への展開に伴い観測問題など,従来の決定論とは全く異なる非決定論や不確定性論の観点をもたらした。さらにカオスや複雑性の科学をもたらしている。この事態で心理学内部の未解決の諸課題の解消や心理学の大統一は可能か。心理学自体を再検証し今後への道程を模索する。</p>
収録刊行物
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- 日本心理学会大会発表論文集
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日本心理学会大会発表論文集 85 (0), L-006-L-006, 2021
公益社団法人 日本心理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390291767785328512
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- ISSN
- 24337609
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可