ライナーレス感熱ラベルにおける感熱薬品の層間移動に関する分析

  • 森江 正博
    王子ホールディングス株式会社 イノベーション推進本部 分析センター

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Phase Transfer of Thermal Chemicals in Linerless Thermal Labels

抄録

<p>感熱紙の裏面に粘着剤を塗布し,剥離紙を貼り合わせてなる通常の感熱ラベルと異なり,剥離層を設けた感熱面の上に直接粘着剤が貼り合わせられるライナーレス感熱ラベルの開発において,通常の感熱ラベルにも使用されるアクリルエマルジョン系の粘着剤を用いたところ,減感(発色不良)が発生した。原因調査としてラベル中の感熱薬品量を分析したところ,通常のラベルと比べて感熱面から減少している薬品があることが分かった。</p><p>減感が発生するラベルと発生しないラベルのモデル試料を作成し,50℃90%RHの環境下で加速試験を行い,染料や顕色剤等の感熱薬品にどのような変化が起こるか分析を行った。減感が発生するラベルは,感熱薬品のうち染料はほぼ100%残存した状態であるが,顕色剤の減少が激しく,酷いものでは4%程度しか残存しない。これに対して減感が発生しないラベルでは顕色剤の減少が発生したラベルに比べて少なく,75%程度が残存した状態である。解析を進めた結果,この減少した顕色剤の一部は分解しているものの,その大半は粘着剤側に移動していることが分かった。その経路は,感熱面から原紙を通過して粘着剤側に移動するのではなく,感熱面から剥離層を通して貼り合わせた粘着剤に移動する,というものであった。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 76 (1), 37-40, 2022

    紙パルプ技術協会

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