ヤヌスナノ粒子の経口デリバリーによりマルチモーダル治療を達成する
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- 湯谷 玲子
- 武庫川女子大学薬学部
抄録
前後2つの顔を持つ古代ローマの神ヤヌスにちなんで名づけられたヤヌスナノ粒子(JNP)は,1つの構造体が,2つ以上の異なる,相互に影響することのない物理的・化学的特性を有する異方性粒子である.当初,極性と非極性の2つの半球を持つ両親媒性ガラスビーズとして報告されたJNPは,近年,多様な組成,形態および特性を持つマテリアルへと急速に発展を遂げてきた.JNPの興味深い特性は,その非対称な構造に由来する.多様な成分を1つの構造に統合することで用量を減らすことができるだけでなく,同時に異なる機能を付与することや相乗的な機能を発揮させることも可能となる.これらのユニークな特性から,JNPは,触媒,ナノモーター,バイオセンサー,ドラッグデリバリーなど幅広い用途での応用が注目されている.本稿では,物理化学的特性の異なる2つの薬物の経口デュアルドラッグデリバリーシステムとしてJNPを応用できる可能性を示したLiuらの報告を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) de Gennes P. G., Science, 256, 495-497(1992).<br>2) Zhang X. et al., ACS Nano, 15, 6147-6191(2021).<br>3) Liu L. et al., J. Nanobiotechnol., online 19, 235(2021).
収録刊行物
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- ファルマシア
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ファルマシア 58 (4), 359-359, 2022
公益社団法人 日本薬学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390291767823369344
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- ISSN
- 21897026
- 00148601
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可