書誌事項
- タイトル別名
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- Transient Neonatal Zinc Deficiency : A Case Report
- Transient Neonatal Zinc Deficiency ノ 1レイ
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説明
<p>亜鉛は人体における必須微量元素の中で 2 番目に多く,多数の蛋白構造や機能維持に関与し,酵素の活性・調整因子である。亜鉛は主に小腸で吸収され,生体内の様々な臓器に分布するが,皮膚は生体内で 3 番目に亜鉛を多く含有する臓器であり,皮膚の恒常性維持に亜鉛は必須である。亜鉛が欠乏すると様々な症状を引き起こし,その中でも皮膚において多岐にわたる症状を引き起こす。生体には亜鉛の恒常性維持のために調節機構が備わっているが,その主軸となるものが亜鉛トランスポーターである。Transient neonatal zinc deficiency(TNZD)は母親の SLC30A2 遺伝子変異によって,乳腺細胞の亜鉛トランスポーター ZnT(Zn transporter)2 に機能障害が生じ,乳汁中への亜鉛分泌量が低下し,低亜鉛母乳になる。乳児は通常,母乳から必要量の亜鉛を得ているため,母乳中の亜鉛量が減少した低亜鉛母乳を授乳していると,直ちに亜鉛欠乏に陥る。症例は完全母乳で育児中の生後 4 カ月の男児で生後 2 カ月より後頭部に紅斑が出現した。徐々に口周囲や肛門周囲に鱗屑を伴う紅斑が拡大したため,当科を受診した。母親は潜在性亜鉛欠乏症を認めたが,亜鉛欠乏症状は全くみられなかった。患児の血清亜鉛濃度低値と母乳中亜鉛濃度低値より臨床的に TNZD と診断した。TNZD は通常母乳栄養で発症し,人工乳では発症しない。離乳までの亜鉛補充または人工乳授乳が治療となる。</p>
収録刊行物
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- 西日本皮膚科
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西日本皮膚科 84 (1), 29-32, 2022-02-01
日本皮膚科学会西部支部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390291767828770944
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- NII書誌ID
- AN00183881
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- ISSN
- 18804047
- 03869784
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- NDL書誌ID
- 032028354
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可