噛み締め症候群患者と健常者の咬合筋活動の比較

DOI
  • 鈴木 里砂
    文京学院大学保健医療技術学部 国立病院機構村山医療センター 早稲田大学人間総合研究センター
  • 村岡 慶裕
    国立病院機構村山医療センター 早稲田大学人間科学学術院

書誌事項

タイトル別名
  • A Comparative Study of Occlusal Muscle Activity in Patients with Bite Clenching Syndrome and Normal Subjects

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抄録

<p> 【目的】簡易筋電計を用いて,クレンチングが指摘されている噛み締め症候群患者と健常者における食物形態を変化させた際の食事時の咬筋筋活動を検討した.</p><p> 【方法】対象は,歯科治療中でない健常者1名と噛み締め症候群患者1名であった.右咬合筋に記録電極を設置し,a:最大咬合,b:最小咬合,c:ガム咀嚼時,d:バナナ咀嚼時の4種の筋電図を測定した.結果として,各々の平均二乗平均平方根(root mean square:RMS)値を算出した.</p><p> 【結果】健常者の平均RMSは,a:1.21±0.21,b:0.06±0.01,c:0.44±0.20,d:0.23±0.05(μV),患者の平均RMSは,a:3.35±0.38,b:0.07±0.01,c:1.14±0.26,d:0.40±0.05(μV)であった.健常者の咀嚼時の特徴として,食物形態が柔らかくなると筋電振幅が下がってくることが確認できた.ガムにおいては,ガムが固形から水分を含み柔らかくなるにしたがって筋電振幅は低下していた.また,咬合のタイミングが周期的で一定であり,唾液と混ぜて咀嚼できている様子が示されていた.反対に,患者の筋活動は咬合力が周期的でなく不定となっていた.とくにガムについては,筋電振幅は食物咀嚼を繰り返すごとに大きくなっており,適切な咬合力を把握できていない可能性があることが示された.</p><p> 【考察】患者の筋活動は食物咀嚼時に大きく,適切な咬合力を把握できていない可能性がある.適切な咬合力の把握には,歯根膜感覚受容器の有無によるところが大きく,これが阻害されている場合は,フィードバックなどを利用することにより,代償や感覚再学習を行える可能性がある.また,安価な簡易筋電計は,日中のクレンチングに対するフィードバックに応用できる可能性がある.</p>

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