日本で初めて発見されたテンサイシストセンチュウ個体群の寄主範囲

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  • Host range of the sugar beet cyst nematode (<i>Heterodera schachtii</i>) population detected for the first time in Japan
  • Host range of the sugar beet cyst nematode (Heterodera schachtii) population detected for the first time in Japan

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抄録

<p>夏季の高原野菜産地として知られる長野県原村のアブラナ科野菜圃場でテンサイシストセンチュウ、Heterodera schachtii (HS) の個体群が日本で初めて2017年に発見された。その根絶と萬延防止を目指し、寄主になりうる作物の栽培と搬出の禁止措置及び土壌くん蒸剤処理を中心とした緊急防除が農水省によって実施されている。その後は、HSの再発を防止し営農を速やかに再開できるようにするため、輪作と捕獲作物の栽培を主とする新規営農体系の構築が必要である。他のシストセンチュウ種に比べてHSは広い寄主植物範囲を持ち、またその範囲は地域個体群間で異なることが知られている。そのため、営農体系の構築には現地で発生している個体群の寄主植物範囲を解明することが不可欠である。本研究では、原村で栽培されているあるいは栽培可能な作物品目を主な対象とした接種試験を行い、現地HS個体群の寄主植物範囲を解明した。合計17品目106品種について検討した結果、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ハクサイ、ダイコン、フダンソウ、テンサイ及びホウレンソウは好適寄主であった。これらの品目では抵抗性品種が見つからなかった。トマトとソバは各々中程度の寄主と不適な寄主と判定された。レタス、トウモロコシ、ズッキーニ、セルリー、パセリ、クローバー及び景観作物のハゼリソウは非寄主と判定された。ハダイコンの1品種はHSを寄生させず土壌中のHS密度を低減する捕獲作物として知られるが、例外的に寄生を許す個体が市販種子から発生する場合があることがわかった。</p>

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