高位泥炭地の尾瀬ヶ原になぜ低位泥炭地のヨシ−ミツガシワ群落が成立できるのか : 微地形・泥炭堆積過程が湿原植物群落の生育,分布に及ぼす影響

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書誌事項

タイトル別名
  • Why is it possible for a low − level peatland plants community, Menyanthes trifoliata − Phragmites australis community, to establish itself on a high − level peatland, Ozegahara mire : Effects of microtopography and peat deposition on the growth and distribution of marsh plants communities
  • 高位泥炭地の尾瀬ヶ原になぜ低位泥炭地のヨシ-ミツガシワ群落が成立できるのか : 微地形・泥炭堆積過程が湿原植物群落の生育,分布に及ぼす影響
  • コウイ デイタンチ ノ オゼガハラ ニ ナゼ テイイ デイタンチ ノ ヨシ-ミツガシワ グンラク ガ セイリツ デキル ノ カ : ビチケイ ・ デイタン タイセキ カテイ ガ シツゲン ショクブツ グンラク ノ セイイク,ブンプ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

尾瀬ヶ原湿原に見られる微地形とそこに生育する植物の生育環境を調べた.また,代表的な微地形地において,ピートサンプラーにより泥炭を採取し,泥炭堆積過程の比較を行なった.尾瀬ヶ原湿原に生育するミツガシワ,リュウキンカ,ヨシ−ミツガシワの各群落は,低層湿原地を指標する湿原植物群であるが,尾瀬ヶ原湿原においては浅い池溏,山地から流入する河川の氾濫原に生育していた.これらの場所は,中間あるいは高層湿原の上に,低層湿原が堆積する環境であった.泥炭層の厚さは南下田代の指紋状構造地では比較的浅く,深さ300cm前後で粘土層に達していた.中田代では深さ600cmまで達しても粘土層に届かない調査箇所,泥炭層位に乱れがなく,深さ500cm前後から粘土層に達する箇所,500cmより深い層位で泥炭と粘土層が互層になる箇所とが見られた.これらの結果から,湿原植物は必ずしも泥炭層に依存して生育しているわけではなく,その生育は,泥炭堆積後の微地形の変化によって成立する生育環境の違いに依存していた.また,尾瀬ヶ原湿原の微地形は,それぞれの場所で同時期に形成された可能性が高く,泥炭形成の主要因はブランケット湿原であると判定された.

収録刊行物

  • 低温科学

    低温科学 80 251-267, 2022-03-31

    低温科学第80巻編集委員会

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