高大接続の実相と課題

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タイトル別名
  • Articulation between Upper Secondary Education and Higher Education in Japan : Problems and Proposals for Improvement
  • コウダイ セツゾク ノ ジッソウ ト カダイ

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抄録

本稿の課題は、地に足の着いた議論に資するために、高大接続の実相とそこから導かれる課題を提示することである。分析は、「大学進学率の上昇によって顕在化した学生の学力不足」という今日の高大接続の観点のひとつに立ち、天野郁夫による学生の学力問題の整理に基づき視点を設定し行った。分析結果を踏まえ、次のような高大接続の課題を提示した。進学中堅校生徒の高校前半期の生活では大学入試は強く意識されていない。したがって、入試により生徒の学習時間などの学習行動を変えることは期待できない。学習時間を伸ばすには、1 年次で学習習慣をつけること、共に学ぶ友人や学習の「場」の構築、さらに定期試験を意味のあるものにすること、自己効力感を育むことが高校教育に求められる。それは、学習意欲を高めることに繋がる。また、多様化した入試は共に学ぶことを阻害し、推薦入試やAO 入試は早期進学決定者の学習時間・意欲に負の影響を与えている。試験科目の共通化や選抜の実施時期が検討される必要がある。さらに、「表現力」などの学習スキルが学生には不足しているので、高校段階でそれを培い、評価できるようなシステムを将来的には目指すべきである。

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