生体分子固定化カーボンフェルトを用いるフローインジェクション分析式電気化学バイオセンサー

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タイトル別名
  • Electrochemical Flow Injection Analysis Biosensors Using Biomolecules-immobilized Carbon Felt
  • セイタイ ブンシ コテイカ カーボンフェルト オ モチイル フローインジェクション ブンセキシキ デンキ カガク バイオセンサー

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抄録

<p>直径数μmの微小炭素繊維の三次元ランダム集積体であるカーボンフェルト(CF)に酸化還元酵素や金属タンパク質を固定化し,これらをフロースルー型検出器の作用電極として利用する電流検知型(アンペロメトリック)フローインジェクション分析(Flow Injection Analysis, FIA)式の電気化学バイオセンサーを開発した.1)チロシナーゼ固定化CFの酵素酸化反応/電気化学還元反応に基づく基質リサイクリング反応を利用する信号増幅型高感度フェノール及びカテコール化合物センサー,2)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)固定化CFの直接電子移動型(DET型)電解触媒活性を利用する過酸化水素(H2O2)センサー,3)グルコースオキシダーゼ(ブドウ糖酸化酵素)やウリカーゼ(尿酸酸化酵素)固定化CFをカラム式酵素リアクターとしてHRP固定化CF(H2O2検出器)と連結したグルコース及び尿酸センサー,4)ヘムタンパク質の活性中心補欠分子族であるヘミン(Hm)を固定化したCFの酸素(O2)還元触媒活性を利用する溶存酸素(DO)センサー,5)ミオグロビン,ヘモグロビン,ペルオキシダーゼなどヘムタンパク質固定化CFのO2還元触媒活性に対する呼吸毒(シアン化物イオン及びアジ化物イオン)の可逆的な阻害効果を利用する毒物センサーなど,大きな有効表面積・高い導電性・空隙率を持つCFに固定化した生体分子の特異的電解触媒活性を利用する,FIA式の電気化学バイオセンサーを紹介する.これらのバイオセンサーは,生体分子の触媒活性や特異性に基づき,反応試薬の添加,試料の前処理,カラム分離が基本的に不要であるため,より簡便なシステム・操作で多試料の連続分析が可能である.将来的には,もののインターネット(Internet of Things, IoT)技術と連動させたオンライン型の自動分析装置への展開も期待され,内閣府が提唱する理想の未来社会Society 5.0において,生活空間のさまざまな情報を人工知能(Artificial Intelligence, AI)解析用に収集するセンサー技術の一翼を担うことも期待できる.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 71 (1.2), 13-24, 2022-01-05

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (70)*注記

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