膵頭十二指腸切除術後に発症し肝硬変に至った非アルコール性脂肪性肝炎の1例

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  • A case of nonalcoholic steatohepatitis that resulted in cirrhosis after pancreatoduodenectomy

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抄録

<p>要旨:患者は59歳時(2009年5月)に鳥取生協病院(以下,当院と略)にて十二指腸副乳頭カルチノイドに対する膵頭十二指腸切除術(pancreatoduodenectomy;以下,PDと略)を施行した.退院後は外科外来でフォローアップされていたが,肝機能障害が出現したため,64歳時(2014年3月)に当院内科に紹介,精査の結果非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;以下,NASHと略)と診断し内服治療を開始した.しかし,肝機能は徐々に悪化し,68歳時(2019年2月)に肝性脳症で入院となった.本症例のNASHの成因および増悪原因について再考したところ,PDによる長期間の膵外分泌酵素の低下が一因として考えられたため,診断と治療を兼ねてパンクレリパーゼの投与を開始した.その後,徐々に肝性脳症のコントロールは良好となり,53病日に退院となった.PD後の患者では予後規定因子になり得る栄養障害の発生も念頭におき,高力価膵酵素の投与を含む継続的な栄養管理が肝要であると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 学会誌JSPEN

    学会誌JSPEN 3 (5), 313-319, 2021

    一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会

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