札幌市の事業場における産業保健活動の変遷と今後の課題

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タイトル別名
  • Transition and future tasks of occupational health practice in small and mid-sized companies in the city of Sapporo
  • サッポロシ ノ ジギョウジョウ ニ オケル サンギョウ ホケン カツドウ ノ ヘンセン ト コンゴ ノ カダイ

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抄録

<p>目的:札幌市内の事業場における産業医活動の現状や事業場の産業保健活動に対する考え方を把握し,過去の調査結果とも比較することで,今後の課題を検討する目的から調査票による調査研究を行った.対象と方法:札幌市の所轄労働基準監督署に従業員数50人以上規模として登録されている1,898事業場に調査票を郵送し,無記名で回答してもらった.回答を業種別,従業員数別に集計し,結果を比較した.結果:調査期間は2020年2月~3月.回収数は692件,回収率は37%であった(1987年49%,2003年47%).2003年の調査との比較では,産業医選任率が77%から97%に(1987年75%),職場巡視の実施率は41%から65%に,安全衛生委員会へ出席している割合は24%から56%へと増加した.過重勤務状況に関する項目は,「月80時間以上の労働者が10%以上いる事業場の割合」は全体では29%から7%に減少していたが,運輸・交通業は38%と高い割合のままだった.最近の法改正の項目では,ストレスチェックは50人以上の事業場の98%で実施されていた.働き方改革関連法に関する項目では,労働者数が多いほど実施されている傾向があったが,特に長時間労働者の面接等の4項目については,建設業は80%以上,金融・広告業,通信業では90%以上と実施割合が高く,教育・研究業は60%以下と低かった.結論:第3次産業の割合が高い札幌市内の事業場において,近年の法改正に伴う産業保健活動として高いストレスチェックの実施率(50人以上の事業場で98%)や,過重労働対策による「月80時間以上の労働者の割合」の減少,受動喫煙対策の推進(86%が実施済)といった現状がわかった.一方,産業医の職場巡視や安全衛生委員会の出席については,2003年の調査結果と比較すると,それぞれ41%から65%,24%から56%と増加しているものの,未だ3分の1の事業場では実施されておらず,今後の継続的な課題と思われた.</p>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 64 (3), 152-162, 2022-05-20

    公益社団法人 日本産業衛生学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (2)*注記

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