段ボール箱の圧縮強度解析におけるCAE活用事例

  • 小林 孝男
    王子ホールディングス株式会社 イノベーション推進本部 パッケージング推進センター

書誌事項

タイトル別名
  • Numerical Simulation in Compressive Strength Analysis of Corrugated Box

抄録

<p>段ボール箱は,輸送や保管の際に積み重ねられて使用されることが多く,最下段の箱には相当の荷重が加わる。この荷重に耐えることができなければ,箱が潰れるだけでなくパレット上で荷崩れが発生する危険もある。そのため,箱圧縮試験によって測定される箱圧縮強度は,箱の潰れにくさの指標として重要な品質のひとつとなっている。この箱圧縮強度をシミュレーションで事前に予測することができれば,実験と試作の繰り返しを排除し,新製品の開発期間短縮にもつながる。本報告では,非線形有限要素解析を用いた数値シミュレーションによって,段ボールに関する箱圧縮解析を実施した事例について紹介する。</p><p>まず,最初に解析手法の開発を行った。段ボールシートはライナーと中芯から成る3次元構造体であるが,1枚板で近似できると仮定し,シェル要素を用いて箱をモデル化した。箱の天面に圧縮変位を与えて押し潰し,このとき得られた荷重−変位曲線の最大荷重を箱圧縮強度として算出した。解析の結果,手穴の有無による座屈モードの違いや強度の序列を再現することができた。次に,断面が正多角形である段ボール箱について検討を行い,角数を増やすと円筒の座屈モードに近づき強度に高くなる可能性を示した。最後に,パレットに段積みされた段ボール箱の圧縮解析を実施し,積み付けパターンによっては荷崩れを防止することが可能となることを示すことができた。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 76 (4), 335-340, 2022

    紙パルプ技術協会

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