腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)術後に下肢コンパートメント症候群を生じた1 例

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  • A Case of well leg compartment syndrome after Laparoscopic Sacrocolpopexy

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抄録

<p>近年、長時間に及ぶ婦人科腹腔鏡下手術後の合併症として下肢コンパートメント症候群well leg compartment syndrome(WLCS)が報告されている。当科では、3 時間以上の腹腔鏡下手術は本症例を発症するまで全腹腔鏡手術6457 例中1338 例(20.7%)あったが、WLCS を発症したことはなかった。今回腹腔鏡下仙骨腟固定(LSC)術後にWLCS を生じた症例を経験したため報告する。症例は79 歳で3 妊2 産、BMI19.8 であった。74 歳より子宮下垂を自覚し、頻尿・残尿感も認めるようになり、手術希望で当科を受診した。子宮脱stage 3、膀胱瘤stage 2、子宮頸部軽度異形成の診断で手術の方針となった。腹腔鏡下子宮全摘術・両側子宮付属器切除術・仙骨腟固定術を施行し、手術時間5 時間20 分、砕石位で弾性ストッキングを着用し間欠的下肢空気圧迫装置を装着した。麻酔覚醒直後より左下肢痛出現し、帰室後に激痛となり左下肢腫脹を認めたため整形外科医に診察を依頼した。下肢造影CT にて左ヒラメ筋内血腫を認め、CK163U/L と軽度上昇し、筋区画内圧10-20mmHg でWLCS と診断された。運動や感覚の麻痺はなく、冷却と安静による保存的経過観察の方針となった。術後3 日目にCK 値は3415U/L でピークとなりその後低下した。術後9 日目より左足のリハビリを開始し、術後20 日で杖歩行可能となり術後 23 日目で退院となった。術中の下肢の不適切な体位の影響で生じるとされるWLCS については、これまでにも多く報告されている。当施設においては、WLCS 発症のリスク因子や予防対策についての知識不足や経験不足が合併症を引き起こしたと考えられた。ロボット支援下仙骨腟固定術(Robotic-assisted sacrocolpopexy: RSC)が保険収載され多くの施設でRSC 導入が検討されるこの時期に、改めて当施設でのWLCS 経験と反省点について、文献的考察を加え報告する。</p>

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