下肢静脈血流の生理―呼吸法の弁挙動と血流におよぼす影響―

  • 保坂 純郎
    日本医科大学放射線科,ハイテクリサーチセンター
  • 隈崎 達夫
    日本医科大学放射線科,ハイテクリサーチセンター
  • 松田 亮
    日本医科大学放射線科,ハイテクリサーチセンター

書誌事項

タイトル別名
  • The Effect of Respiration on Venous-valve Movement and Venous Flow in the Lower Extremity

抄録

<p>【目的】腹式,胸式,各呼吸法の大腿静脈の弁挙動と血流に対する影響を超音波検査を用いて観察し,下肢静脈血流に対する呼吸の役割を検討する.</p><p>【対象と方法】対象は健常成人男性10名10肢.被験者は検査前に腹式,胸式両呼吸法を十分に練習し,逆Trendelenburg体位にて大腿静脈をB-mode,pulse Doppler法を用いて検査した.胸部には呼吸モニターを装着し,波形を画面同時表示した.検査は全例で両呼吸法下で行い,弁挙動と血流の変動を観察した.</p><p>【結果】弁挙動は,腹式呼吸法下では,通常呼気開始時に開放し吸気開始時に閉塞したが(9/10),胸式呼吸法下では,完全開閉にならない場合が多かった(6/10,P<0.05).血流は,腹式呼吸法下では,通常呼気時にのみ血流が観察されたが(9/10),胸式呼吸法下では様々で,吸気時の血流に呼気時の心拍同期血流が合わせて観察される場合が多かった(6/10,P<0.05).</p><p>【結論】下肢静脈の弁挙動と血流に対する呼吸の影響は大きい.血流パターンは呼吸法に大きく依存し,腹式呼吸法では呼気の血流発生への作用が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 静脈学

    静脈学 14 (4), 291-295, 2003

    日本静脈学会

参考文献 (4)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ