高度救命救急センターに勤務する看護師が捉えた重症熱傷患者の看護援助と困難

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  • Nursing Care and Difficulties in Treating Severe Burn Patients as Understood by Advanced Critical Care and Emergency Center Nurses

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抄録

本研究の目的は高度救命救急センターに勤務する看護師が捉えた重症熱傷患者の看護援助と困難を明らかにすることである.<br> A病院高度救命救急センターの看護師6名を対象に,フォーカス・グループインタビュー(以下FGI)を行った.FGIは重症熱傷患者の看護援助とその困難で構成した.分析は重症熱傷患者の看護援助とその困難について抽出し要約後,テキストマイニング(KH Corder,2012)を用いて上位頻出語,階層的クラスター分析を行った.<br/> テキストマイニングの上位頻出語は,看護援助は「患者」47が最も多く,「家族」36,「処置」25と続き,困難は「患者」46が最も多く,「熱傷」36,「難しい」28と続いた.階層的クラスター分析の結果から,看護援助は【経験を活かした医師への被覆方法の提案】,【熱傷創の変化や痛みの範囲を基にした熱傷部の異常の予測】,【リハビリテーションと安静の程度の見定めとケアの必要性の判断】,【終末期における見た目を考慮した創処置の実施】,【熱傷部位や全身状態を考慮した家族への対応】,【観察と記録を基にした創管理の工夫】が,困難は【患者自身の姿と対面するタイミング】,【不十分なルート固定の管理】,【必要な鎮痛鎮静の調整】,【患者状態が変動しやすい急性期における家族アプローチ】,【便汚染によるガーゼ対応の大変さ】,【長期治療による患者のボディイメージへの精神的ケアに対する知識不足からくる陰性感情】,【熱傷患者の搬入準備や処置経験と重症熱傷の創や合併症へのケア経験蓄積の必要性】が生成された.<br> 以上より,重症熱傷患者の看護援助には熱傷診療ガイドラインをふまえた看護展開と看護援助の質の維持を目的とした熱傷創管理や患者と家族への直接ケアの充実を図るために,一連の熱傷患者の回復過程を含めた経験知の集積と研究の蓄積が必要であると示唆された.また,困難解決に向けたリソースの活用や医療者の連携等を含めた教育プログラムの構築が有用と考える.<br/>

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 48 (2), 59-68, 2022-06-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

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