脳卒中における急性症候性発作の臨床神経生理

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical neurophysiology of acute symptomatic seizure in stroke patients

説明

<p>急性期脳卒中には, しばしばてんかん発作 (seizure) が合併する。発症早期のearly seizureは, 近年は国際抗てんかん連盟の定義に基づいて急性症候性発作 (acute symptomatic seizure) と呼称されることが増えてきている。急性症候性発作は脳卒中の病態を修飾することで転帰の悪化につながる他, 脳卒中後てんかん発症のリスクにつながる可能性がある。急性期の病態悪化に関連する病態として, てんかん重積状態 (SE) があり, 中でも検出が遅れ重篤化しやすい非けいれん性てんかん重積状態 (NCSE) の合併も稀ではない。NCSEを含む長時間遷延したSEは, てんかん発症のリスクであることが近年報告された。コントロール不良のSEは二次性脳損傷を引き起こす可能性があり, 脳卒中を含む神経疾患では, 本病態のコントロールが患者の転帰を改善するために重要であることが, 神経集中治療領域で注目されている。一方慢性期脳卒中の合併症である脳卒中後てんかんの発症に関連する因子については, 様々な観察研究が行われ, 大脳皮質病変, 病変の大きさ, 若年, 出血性病変, 高い重症度に加え, 急性症候性発作が高リスク因子として認識されている。近年では, 脳卒中後てんかんの発症を予測するため, これらの因子を統合したスコアが提唱されており, 脳梗塞においてはSeLECTスコア, 脳出血においてはCAVEスコアが, それぞれ高いてんかん発症の予測精度を示すことが報告されている。これらのスコアに基づく高リスク症例においては, 早期の治療介入が脳卒中後てんかん発症抑制に期待されている。近年急性期脳卒中診療は目まぐるしい発展を見せているが, 急性期からのてんかん原性抑制や転帰改善のための治療について, 今後のエビデンス集積が期待される。</p>

収録刊行物

  • 臨床神経生理学

    臨床神経生理学 50 (3), 84-88, 2022-06-01

    一般社団法人 日本臨床神経生理学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390292472548985856
  • DOI
    10.11422/jscn.50.84
  • ISSN
    2188031X
    13457101
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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