低標高樹木限界の風衝地におけるハクサンシャクナゲの環境適応

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Adaptation of Rhododendron brachycarpum at the low elevation tree line

抄録

<p>新潟県佐渡島の大佐渡山地では標高約800mから1000mの稜線上に風衝植生が発達しており、冬期に瞬間最大風速 50m/秒を超える強風が吹く。風衝植生は主に草本と落葉低木により構成されるが、ハクサンシャクナゲは唯一の常緑広葉樹として、風衝植生に混交する。ハクサンシャクナゲの強風ストレスに対する可塑性発現を定量的に調べるために風が弱い林内の個体と風衝地の個体をそれぞれ5個体ずつ掘り起こし、樹幹解析を行った。風衝地個体は林内個体に比べてC/F比とT/R比が低い値を示し、幹の伸長成長速度と肥大成長は有意に小さくなった。また、葉は厚く、面積は小さかった。また風衝地の葉の寿命はほぼ一年であり、葉の落葉時期は6月から7月、展葉時期は5月下旬から6月中旬頃だった。掘り起こしの際、萌芽性の株立ち個体と仮定して掘り返したところ複数個体が固まって生育しており、地下部で繋がってはいないものばかりであった。風衝地個体は強風ストレスにより寿命が一年となるが春先の光合成のロスは比較的小さいと思われ、かつ個体サイズが小さく制限されることでC/F比が低くなり生存可能な生産効率になっていると考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390292472549923840
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_457
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ