セミ科昆虫の遺伝構造と森林樹木の分布変遷との関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between the genetic structure of cicada and the past distribution shift of their host forest trees

説明

<p>これまでの長い歴史における地史的・気候的イベントに関連した環境変動は,多くの生物種の分布域や遺伝構造の形成に大きな影響を与えた。特に森林に生息する植食性昆虫は,生息環境を提供する森林樹木と同様の集団動態史を有する可能性が先行研究より示唆されている。そこで本研究では、生息環境の分布変遷も考慮しつつ、森林性昆虫の時空間的動態を評価することを目的に、温帯域・冷温帯域にそれぞれ生息するセミ類ヒグラシおよびエゾハルゼミに着目した。まず、これら2種について、各種の分布域においてサンプルを採取し、ミトコンドリアDNAおよび核DNAに基づいて広域スケールの遺伝構造を評価した。また、セミ類2種に生息環境を提供する温帯~冷温帯森林樹木複数種について、種の移住率を考慮した種分布モデル推定(KISSMig)による最終氷期最盛期の分布復元を行った。その結果、セミ類2種の遺伝構造は森林樹木のレフュージア候補地と関連した地理的パターンを示していた。このことから、セミ類2種の集団動態はそれぞれの生息環境と同様の分布変遷史を辿り、森林性昆虫の移動分散および時空間的動態は植生の分布変遷にも大きく制限されている可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390292472566020864
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_151
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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