北海道内でのエゾサルノコシカケによるカラマツ幹腐朽被害

DOI
  • 山口 岳広
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所

書誌事項

タイトル別名
  • Stem rot caused by <i>Porodaedalea yamanoi</i> on Japanese larch in Hokkaido

抄録

<p> エゾサルノコシカケは北海道においてエゾマツ・アカエゾマツに白色孔状の幹心材腐朽を引き起こし,天然林や高齢人工林での被害が発生している。移入種である北海道のカラマツではこれまでに本菌による被害報告はないが,腐朽被害の発生が懸念される。そこで,北海道内の主に高齢カラマツ人工林を対象に腐朽菌子実体を探索・採取し光学顕微鏡による形態観察と,菌糸を分離してrDNA ITS領域の塩基配列解析を行なった。また高齢カラマツ伐採林分で伐根面の白色孔状腐朽を探索し腐朽菌の分離を試みた。</p><p> 道内のカラマツ6本から子実体を採取し,2箇所のカラマツ伐根から本菌による白色孔状腐朽材を得た。カラマツに発生した子実体とエゾマツ・アカエゾマツに発生した子実体の担子胞子・剛毛体のサイズ比較では大きな差はなく,またカラマツ着生の子実体と腐朽材由来の菌糸およびエゾマツ類着生の子実体から得られたrDNA ITS領域の塩基配列比較でもほとんど違いはなかった.これらの結果から,北海道でカラマツの幹白色孔状腐朽を引き起こしている腐朽菌は,エゾマツ類に幹腐朽を起こすエゾサルノコシカケであろうと考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390292472573922304
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_648
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ