<論説>二〇世紀転換期プラハにおける芸術界とナショナリズム --マーネス造形芸術家協会を中心に--

  • 中辻 柚珠
    京都大学大学院文学研究科博士後期課程; 日本学術振興会特別研究員DC1

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Artists and Nationalism in Prague at the Turn of the 20th Century, Focusing on Mánes Artists' Society

説明

近年、単線的な発展プロセスの中でナショナリズムを捉える構築主義的な歴史認識に限界が指摘されつつある。こうした動向のもと、本稿では、一九世紀末以降プラハを拠点に活動したマーネス造形芸術家協会について、彼らの活動がいかにネイション形成に寄与したかという角度からではなく、彼らがネイションやナショナリズムをどのように捉え、それらとどう向き合ったのかという視角から分析する。協会のネイション/ナショナリズムに対する諸言説は、自身の芸術上の利害との摩擦の中で生じていった。協会はネイションの価値を否定しないが、ネイションを限定的に解釈することには反対であり、自由な創作活動の行き着く先にチェコ性が宿ると捉えていた。また芸術活動にナショナルな帰属の問題を持ち込むことには反対であった。こうした事例を見ることで、均質なネイションへの一元化という従来のネイション形成史像に対する修正を試みる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 104 (6), 669-703, 2021-11-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390292472573949568
  • DOI
    10.14989/shirin_104_6_669
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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