地方観光地の宿泊業における労働力確保の特徴
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- 綱川 雄大
- 明治大学・院
書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristics of Securing Labor Force in Local Tourist Area:
- A Case Study of Karuizawa, Nagano Prefecture
- ― 長野県軽井沢町を事例として ―
抄録
<p> 本稿は,最近の日本経済の再生や地域振興による観光業への期待が高まりながらも,人口流出,少子化と労働力不足を抱える地方の観光地において,どのように労働力の確保が行われているのかを明らかにすることを目的とする.観光地の主要産業として地域を牽引してきた宿泊業に焦点を当て,長野県軽井沢町を事例とした.法人経営による大規模宿泊施設では,繁忙期の時間的なミスマッチを中心に人材派遣や紹介会社等を活用し,求人募集でも全国的なスケールで行われる特徴が見て取れた.法人経営による小規模宿泊施設でも,派遣会社や求人募集を活用しているが,その空間スケールは軽井沢町周辺を中心とする,通勤が可能なローカルなスケールとなっている.これは,求人にかかるコスト負担の可否や,寮などの居住設備を提供できるか否かといった,宿泊施設の経済力の違いによる.宿泊業は職住近接な環境が望ましく,大規模宿泊施設は自らの持つ資本力に基づき,居住設備を整備することで労働の時間変動の問題を克服し,小規模宿泊施設は軽井沢町周辺からの通勤が可能な範囲によって,労働の時間変動の問題に対処していた.加えて長年,軽井沢町に根差し,地域に密着した個人経営の宿泊施設では,地縁・血縁を中心とする人的ネットワークを活用することで,労働力の確保を行っていた.その空間スケールは軽井沢町内や宿泊施設周辺という,法人経営による宿泊施設と比較して,さらにミクロなスケールとなっていることが明らかとなった.</p>
収録刊行物
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- 経済地理学年報
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経済地理学年報 67 (2), 84-104, 2021-06-30
経済地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390292572073657856
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- ISSN
- 24241636
- 00045683
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可