ニロチニブによる慢性骨髄性白血病の分子遺伝学的寛解中に発症した急性単球性白血病(AMoL) の1 例

書誌事項

タイトル別名
  • Development of acute monocytic leukemia (AMoL) during molecular remission of chronic myeloid leukemia treated with nilotinib

抄録

<p>【症例】70 歳男性.7 年前に慢性骨髄性白血病(CML)と診断された.ダサチニブで肺水腫をきたしたためニロチニブに変更したところ,BCR-ABL1IS は1 年後に0.0314%,3 年後に測定感度未満に低下した.遺伝性の溶血性貧血を合併していた.受診4 日前から倦怠感,食思不振を自覚,発熱と浮腫を伴うため救急外来を受診した.受診3 か月前のBCR-ABL1IS は測定感度未満を維持していた. 【検査結果】Hb 10.0 g/dL, WBC 141,720 /μL, PLT 16.2×104 /μL, LDH 2,225 U/L, UA 10.7 mg/dL, D-dimer 25.0 μg/ mL, CRP 1.21 mg/dL, BCR-ABL1 IS 測定感度未満.白血病細胞は切れ込みのある核と広い細胞質を有する前単球の形態.フローサイトメトリーは,CD 34-/+, CD117-, CD13-/+, CD14+/-, CD33+, CD36++/+, CD11b+, CD11c-/+, CD45RO+, CD56+, HLA-DR+.G-banding 核型は47, XY, +8, FISH でBCR-ABL1 融合シグナル陰性,RUNX1T1 シグナルを3 個 認めた.第4 病日に白血球数251,490 /μL, LDH 6,191 U/L に上昇し,頭蓋内出血をきたして死亡した. 【考案】本症例はニロチニブによるCMLの分子遺伝学的寛解中に発症したPh陰性AMoLである.TKI投与CMLでは,Ph 陰性細胞に-Y, +8, -7/7q-, 22q- などのクローンが生じ(CCA/Ph-),一部ではMDS やAML に進展するがAMoL の報告はない.本症例はCCA/Ph- クローン由来ではなく,TKI 治療とは無関係に発症したde novo 白血病であると考えられた.</p>

収録刊行物

  • Tenri Medical Bulletin

    Tenri Medical Bulletin 25 (1), 76-77, 2022-12-25

    公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ