骨髄標本のスマッジ細胞集簇像が診断の契機となった血管内大細胞型B細胞リンパ腫

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タイトル別名
  • Finding smudge cell aggregations in a bone marrow smear preparation may be helpful in the diagnosis of intravascular large B-cell lymphoma
  • コツズイ ヒョウホン ノ スマッジ サイボウ シュウゾクゾウ ガ シンダン ノ ケイキ ト ナッタ ケッカン ナイ ダイ サイボウガタ Bサイボウ リンパシュ

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抄録

<p>塗抹標本作製時に壊れた細胞であるスマッジ細胞は,慢性リンパ性白血病をはじめとするリンパ系腫瘍に多くみられ,これらの疾患を疑うきっかけとなりうる所見である。今回,骨髄像検査におけるスマッジ細胞の集簇像から,血管内大細胞型B細胞リンパ腫の診断にいたった症例を経験した。症例は50歳代女性。不明熱の精査目的で当院転院となった。血液検査では,赤血球数と血小板数の2系統の低下が認められた。生化学・免疫学検査ではLD,CRP,フェリチン,可溶性IL-2レセプターが高値を示し,悪性リンパ腫を疑う所見であったが,リンパ節腫脹は認められなかった。不明熱の精査目的で施行された骨髄穿刺・生検では,骨髄像検査でスマッジ細胞の集簇像,骨髄病理組織ではCD20陽性の大型のリンパ腫細胞の骨髄浸潤が認められた。これらの所見から血管内大細胞型B細胞リンパ腫が積極的に疑われ,ランダム皮膚生検が施行された。骨髄生検と同様,CD20陽性の大型のリンパ腫細胞の浸潤が皮膚血管内に認められ,血管内大細胞型B細胞リンパ腫の診断に至った。血管内大細胞型B細胞リンパ腫は,リンパ節腫脹や腫瘤形成といったリンパ腫の典型的な所見を呈さないため診断が困難な場合が多い。骨髄検査におけるスマッジ細胞集簇像は血管内大細胞型B細胞リンパ腫でも観察される可能性があり,注意深い観察が重要と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (3), 574-580, 2022-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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