回腸利用膀胱拡大術後の53年目に腺癌を発症した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of adenocarcinoma 53 years after bladder augmentation using the ileum
  • カイチョウ リヨウ ボウコウ カクダイ ジュツゴ ノ 53ネンメ ニ センガン オ ハッショウ シタ 1レイ

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抄録

<p>背景:尿沈渣において検出する腺癌は原発性,転移性,コンタミネーションによるものなどが挙げられるが,今回我々は53年前に回腸利用膀胱拡大術を行った患者において稀な腺癌を検出した症例を経験したので報告する。症例:70歳代,男性。53年前に腎結核,膀胱結核にて左腎臓摘出術および回腸利用膀胱拡大術を実施。3年前から肉眼的血尿を自覚し近医にて経過観察。膀胱内凝血塊,右水腎症を認め当院紹介受診。尿検査所見より異型細胞を認め,その後に行われた膀胱鏡による生検の組織診断にて回腸由来の腺癌が考えられ確定診断が得られた。 結語:尿沈渣検査にて稀な腺癌症例を経験した。現在,回腸利用 膀胱拡大術はほとんど行われなくなっている。しかし本症例のように長期間の経過を経て発症する症例が多いため,今日の検査においても遭遇する機会はあると考えられる。遭遇しうることを念頭に置き,臨床情報,形態学的特徴を捉え鏡検を行うことが重要である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (3), 581-586, 2022-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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