血液培養から<i>Granulicatella adiacens</i>が検出された1症例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of infective endocarditis caused by <i>Granulicatella adiacens</i>
  • 血液培養からGranulicatella adiacensが検出された1症例
  • ケツエキ バイヨウ カラ Granulicatella adiacens ガ ケンシュツ サレタ 1 ショウレイ

この論文をさがす

抄録

<p>今回我々は,夜間帯に陽転した血液培養よりGranulicatella adiacensを分離し,感染性心内膜炎と診断された1症例を経験したので報告する。症例は50歳代男性。数日前から37~38℃台の発熱と倦怠感を認め,意識障害,構音障害がみられ当院に搬送された。脳病変を検索するため,頭部MRIを実施し,左後頭葉を中心に梗塞を認めた。各種培養検体の採取後,TAZ/PIPCが投与されたが,血液培養よりグラム陽性レンサ状球菌が検出されたためABPCに変更された。当初,検出菌はStreptococciを疑ったが,サブカルチャーにて5%ヒツジ血液寒天培地に発育しなかったことから栄養要求性レンサ球菌(NVS)を推定し,チョコレート寒天培地とブルセラHK寒天培地を追加した。嫌気培養でα溶血を示すコロニーを認め,NVSを強く疑いGMの追加投与が行われた。梗塞源と感染性心内膜炎の精査のため経食道エコーが施行され,感染性心内膜炎を疑う所見を認めたため心原性脳塞栓症と診断された。その後,検出菌はG. adiacensと同定され,疣贅からも同菌が検出されたため同菌による心内膜炎と診断された。感染性心内膜炎の治療は長期間にわたるため,起炎菌の同定は極めて重要であり,G. adiacensなどのNVSは通常のヒツジ血液寒天培地では発育を認めないため分離培養の段階でどの培地を選択するかが重要な要素となる。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (3), 560-566, 2022-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ