V.Guillain-Barré症候群

  • 桑原 聡
    千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学

書誌事項

タイトル別名
  • V. Guillain-Barré Syndrome

抄録

<p>Guillain-Barré症候群は,先進国における急性四肢麻痺を呈する疾患のなかで最も頻度が高い.年間発症率は10万人あたり1.0~2.0人であり,本邦においては毎年約1,400名が罹患している.従来予後良好な疾患とされてきたが,現在の標準治療である血漿浄化療法あるいは免疫グロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)を行っても,未だ死亡率は2~5%であり,20%の患者は1年後に独立歩行ができないことが明らかとなっており,より有効性の高い治療の開発が求められている.本症候群は免疫介在性ニューロパチーであり,先行感染因子(細菌,ウイルス)と末梢神経成分の分子相同性により自己抗体が産生され,補体の活性化により神経障害が惹起されることが証明されつつある.有望な新規治療として,補体抑制薬と免疫グロブリン分解酵素製剤の2つが注目されている.補体抑制療法(抗C5モノクローナル抗体:エクリズマブ)は第2相臨床試験で有効性が示唆され,2021年4月から本邦において第3相試験が始まっている.免疫グロブリン分解酵素は北欧で第2相試験が終了した段階である.これらの新規治療により,本症候群患者の予後が大幅に向上することが期待されている.</p>

収録刊行物

  • 日本内科学会雑誌

    日本内科学会雑誌 110 (8), 1588-1590, 2021-08-10

    一般社団法人 日本内科学会

参考文献 (2)*注記

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