TGF-β<sub>1</sub>による内皮細胞のBach1誘導を介したNrf2-ARE経路の抑制

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タイトル別名
  • Suppression of Nrf2-ARE pathway in vascular endothelial cells via the induction of Bach1 by TGF-β<sub>1</sub>

抄録

<p>【目的】内皮細胞は血管の内腔を一層に覆っているcell typeあり,その機能障害は血管病変の発症・進展に関与する。TGF-β1は,内皮細胞層の傷害部位に粘着・凝集した血小板のα顆粒から大規模に放出されるサイトカインであり,内皮細胞の増殖や遊走を阻害し線溶活性を低下させる。Nrf2-ARE経路は,抗酸化酵素および第2相解毒代謝酵素などの遺伝子発現を統括的に制御している生体防御系であり,血管病変の進展・発症にも関与している。本研究では,TGF-β1による酸化ストレスの内皮細胞毒性の修飾,およびNrf2-ARE経路の活性化およびその機構を解析した。【方法】細胞は,ウシ大動脈内皮細胞を用いた。細胞傷害性は,形態学的観察および培地中のLDH量により評価した。ARE活性はDual Luciferase assayにより評価した。タンパク質およびmRNA発現は,ウエスタンブロット法およびreal-time RT-PCRによりそれぞれ解析した。siRNAはリポフェクション法により導入した。【結果および考察】TGF-β1の前処理は,過酸化水素およびtBHQによる内皮細胞の傷害を増強した。TGF-β1によってARE活性は低下して,このときNOQ1およびGCLMタンパク質およびmRNA発現は低下していた。TGF-β1によってNrf2の発現および活性化に変化は認められなかったが,転写抑制因子Bach1発現の誘導が認められた。Bach1発現を抑制したとき,TGF-β1によるNOQ1およびGCLM mRNA発現の抑制は回復した。以上より,TGF-β1は酸化ストレスによる内皮細胞毒性を増強することが示唆された。この増強作用は,TGF-β1のBach1誘導を介したNrf2-ARE経路の抑制による防御応答の脆弱化であることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189714816
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-109
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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