スルホサリチル酸を用いた新規アルブミンナノ粒子化法の開発と敗血症への応用

DOI
  • 十鳥 有希菜
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 平川 尚樹
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 木下 遼
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 清水 太郎
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 安藤 英紀
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 石田 竜弘
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野
  • 異島 優
    徳島大学大学院医歯薬学研究部薬物動態制御学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a novel method for albumin-based nanoparticle preparation using sulfosalicylic acid for the treatment of sepsis

抄録

<p>【目的】ヒト血清アルブミン (HSA) は高い血中滞留性を持つドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアとして研究開発されている。しかしながら、HSAのナノ粒子化法の1つである脱溶媒和法は、血中滞留性の低下というHSA本来の利点が欠如する結果を招くことを我々は明らかにした。これはナノ粒子化の際の還元・酸化反応によるHSAの構造変化に起因するものと考えられる。そこで、本来のHSA構造を保持したナノ粒子を開発すべく、タンパク凝集作用を有するスルホサリチル酸 (SSA)を用いたSSA-HSAナノ粒子 (SSA-HSAnp) 化法の開発を行い、以下の検討を行った。</p><p>【方法】SSA-HSAnpはSSAとHSAを混和させることで作製した。また、正常マウスを用いたSSA-HSAnp血中滞留性評価と細胞系および敗血症モデルマウスを用いたLPS誘導性一酸化窒素 (NO)産生に対するSSA-HSAnpの抑制効果について検討した。</p><p>【結果及び考察】HSAが凝集沈殿しない条件下にて、SSAの濃度を細かく調整し、静電的相互作用により粒子化させることで粒子径が約30-100 nmの間でサイズ調整可能なSSA-HSAnpの作製に成功した。次に、マウスにSSA-HSAnpを投与し血中滞留性を評価したところ、SSA-HSAnpはHSAと同等な血中滞留性を保持していることが示された。このことから、HSA本来の血中滞留性を保持したHSAnpの作製に成功した。また興味深いことに、in vitroおよびin vivoの両実験系において、SSA-HSAnpは、LPS誘導性のNO産生を本来のHSA以上に強力に抑制していた。現在SSA-HSAnp によるNO産生抑制作用メカニズムを解析中であり、併せて報告する予定である。以上のことから、SSA-HSAnpはHSA本来の血中滞留性を保持した有用なキャリアとなり得ることが示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189740288
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_o-13
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ