マウス血管組織における線溶系因子の発現に対する亜ヒ酸曝露の影響

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  • Effect of arsenite exposure on the expression of fibrinolytic system factors in mouse vascular tissues

抄録

<p>【目的】慢性的なヒ素曝露により動脈硬化症などの血管病変が引き起こされることが知られているが、その発症メカニズには不明な点が多く残されている。我々はこれまでに、培養血管構成細胞において亜ヒ酸が血液凝固・線溶系に関わる因子の発現に影響を及ぼすことを報告している。本研究では、亜ヒ酸を腹腔内投与したマウスにおける線溶促進因子のtissue-typeまたはurokinase-type plasminogen activator(t-PAまたはu-PA)およびそれらの阻害因子であるplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)の発現変化について検討を試みた。</p><p>【方法】7週齢雄性C57BL6/J マウスに生理食塩水 10 mL/kg/dayまたは亜ヒ酸ナトリウム(ヒ素の総投与量として1.5, 3, 5 mg/kg/day)を腹腔内投与(3, 24時間, 2週間)した後、胸部大動脈、血管周囲脂肪組織(PVAT)および血清を採取した。mRNA量はreal-time RT-PCR法で、血清中t-PA量はELISA法により測定した。</p><p>【結果・考察】亜ヒ酸単回投与3時間後のPVATにおいて、t-PAおよびu-PA のmRNA量が有意に低下したが、胸部大動脈ではそのような変化は認められなかった。亜ヒ酸を2週間連続投与した胸部大動脈では、t-PAおよびu-PAのmRNA量は有意に減少したが、PAI-1 mRNA量は変化しなかった。一方、PVATにおいては、有意な変化は認められなかった。また、24時間および2週間の亜ヒ酸投与により、血清中t-PA量の有意な減少が認められた。以上の結果より、亜ヒ酸曝露は胸部大動脈およびPVATに対して線溶促進因子であるt-PAおよびu-PAの発現低下を引き起こすとともにマウス血清中のt-PA量を減少させることが明らかとなった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189750784
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-122
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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