三次元皮膚モデルを用いた大気中微小粒子PM2.5の気相曝露系の構築
書誌事項
- タイトル別名
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- A novel system for air-liquid interface exposure to PM2.5 and application to skin 3D culture model
抄録
<p>大気汚染物質のうち粒子径が2.5 μm以下の微細な物質をPM2.5と総称している。PM2.5の曝露経路は主として呼吸器であるが、近年、PM2.5の曝露組織として皮膚が注目されている。皮膚は体表に露出しているため、大気中のPM2.5が直接的に曝露される。PM2.5の皮膚影響に係る知見は少ないものの、PM2.5が皮膚状態を変化させるという報告が増えつつある。これらの報告では、培養ケラチノサイト細胞や三次元皮膚モデルに対し、PM懸濁液を処置している。しかし、PM2.5の皮膚影響を調べる上で、曝露実態に即した曝露系を用いることは重要である。そこで本研究では、角質を有する三次元培養皮膚モデル用いた気相曝露系の構築を目指した。</p><p>角質層を有する三次元培養皮膚モデルとして、LabCyte EPI-MODEL24・LabCyte EPI-MODEL12 6D(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)を用いた。直方体の気相曝露チャンバー内に培養ディッシュを配置し、37℃インキュベーター・5%CO2条件下にて、超音波式ネブライザーにより霧化したPM2.5懸濁液を、皮膚モデルの角質層側から曝露した。チャンバー内のPM2.5濃度は拡散ドライヤーを装備したパーティクルカウンターを用いて計数し、0.5 μm径以上の粒子が10・100 μg/m3となるような条件下で1時間曝露した。液相曝露と比較すると、本気相曝露系では三次元皮膚モデルの過酸化脂質量や細胞外へ放出される炎症系メディエーター量が増加することが明らかとなった。以上より、本研究で構築した三次元皮膚気相曝露系を用いると、実態に即したPM2.5の皮膚影響を鋭敏に検出することができると考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), P-129-, 2022
日本毒性学会