Slim Modiolar電極を用いた人工内耳手術症例の検討

  • 小林 万純
    名古屋大学大学院医学系研究科 頭頸部・感覚器外科学講座 耳鼻咽喉科
  • 吉田 忠雄
    名古屋大学大学院医学系研究科 頭頸部・感覚器外科学講座 耳鼻咽喉科
  • 杉本 賢文
    名古屋大学大学院医学系研究科 頭頸部・感覚器外科学講座 耳鼻咽喉科
  • 曾根 三千彦
    名古屋大学大学院医学系研究科 頭頸部・感覚器外科学講座 耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Cochlear implant surgery with slim modiolar electrodes
  • Slim Modiolar デンキョク オ モチイタ ジンコウ ナイジ シュジュツ ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

<p>蝸牛軸近接型のSlim Modiolar電極(CI532/632)は,蝸牛外側壁に設置するSlim Straight電極(CI522/622)と比較して術後成績の改善が得られ,蝸牛の損傷リスクや鼓室階から転座する可能性も低いとされる.一方,手術手技においてシース挿入の難易度が高いこと,tip fold-overを起こしうることが問題とされる.当科で最近1年間に施行されたCI532/632挿入例31耳とCI522挿入例を比較した.CI532/632挿入例では正円窓を拡大して電極を挿入した症例が多く,術中Neural response telemetry(NRT) 閾値や術後半年後のインピーダンスは蝸牛頂周辺電極でより低かった.手術時間や術後の短期的な聴取成績に差は見られなかった.CI532/632を挿入する際は正円窓経由で電極を無理に挿入することで先端の屈曲をきたす危険があるため,後鼓室を広く開放し正円窓周辺の骨突出部を削除し正円窓窩を露出した後,さらに卵円窓側の骨を十分に削除し,必要に応じて正円窓を拡大することとしている.今回CI532/632挿入例はCI522挿入例と比較して半年後の装用効果に有意差は認めなかったが,短期的にはNRT閾値やインピーダンスは良好であった.渉猟しうる限りSlim Modiolar電極の装用効果は良好であるという報告も踏まえ,今後長期的な検討は必要だが,正常蝸牛例ではSlim Modiolar電極はSlim Straight電極の代替となりうると考えられた.</p>

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