スンクスにおけるアセタミプリド代謝の特徴
書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristics of metabolism towards acetamiprid on musk shrew (Suncus murinus)
説明
<p>ネオニコチノイド系殺虫剤は、現在世界中で最も多く使用されている殺虫剤の一つである。環境中に放出されたネオニコチノイド系殺虫剤による野生哺乳類への毒性影響が懸念されている。しかし、現行のネオニコチノイド系殺虫剤のリスク評価では、マウス、ラット、ウサギ等の実験動物が使用されており、これらは多くの野生哺乳類とは分類学的に離れている。そこで発表者らは、野生哺乳類の毒性リスク評価を目的とした新規モデル動物として、スンクス(Suncus murinus)に着目した。スンクスは、他の多くの野生哺乳類と同様にローラシア獣類に分類される。また、肉食性が強い事から従来の実験動物とは異なる代謝特性を有している可能性がある。本研究では、ネオニコチノイド系殺虫剤のひとつであるアセタミプリドに対するスンクスの代謝の特徴を明らかにする事を目的とした。スンクス、マウス、ラットを用いて、アセタミプリドの薬物動態解析、in vitro 代謝活性試験、シトクロムP450 (CYP)の遺伝学的解析を実施した。薬物動態解析の結果、血中アセタミプリド濃度は、マウスよりもスンクスの方が速やかに低下した。また、肝ミクロソームを用いたin vitro代謝活性試験により、スンクスはマウス・ラットと比較して有意に高い酵素活性を示し、アセタミプリドに対する代謝能が高いことが示唆された。以上から、スンクスでは実験動物とは異なるCYP依存性の代謝機構を有している事が明らかとなった。加えて、各動物種のCYP分子種のゲノム配列を用いて、系統解析とmRNA発現量を算出した結果、アセタミプリド代謝に重要であると考えられるスンクスCYP2A、CYP3A分子種が特定された。今後は、これらのCYP分子種に関して、リコンビナントCYPを用いた代謝活性試験を実施し、それぞれのCYP分子種の機能を解明する事が期待される。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), O-27-, 2022
日本毒性学会