腎有機酸トランスポーターにおける新規B型肝炎治療薬の作用の検討

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タイトル別名
  • Effect of a novel hepatitis B antiviral drug in renal organic acid transporters

抄録

<p>B型肝炎ウイルス(HBV)の治療においては、薬剤耐性株の出現をコントロールすることが困難である。HBVは治療を中止しても再発することが多いため、患者は長期にわたって治療を継続しなければならない。最近、薬剤耐性HBV患者のための治療薬としてE-CFCPが開発された。E-CFCPは、高い抗ウイルス活性を持ち、半減期も長いため、週1回の投与による治療が可能である。したがって、E-CFCPは患者さんのQOLを大きく向上させることが期待できる。しかし、腎臓におけるE-CFCPの毒性は明らかではない。本研究では、E-CFCPの腎臓、特に有機酸トランスポーター(有機アニオントランスポーター:OATs、有機カチオントランスポーター:OCT)に対する影響を明らかにすることを目的としている。E-CFCPの腎臓への影響を調べるために、マウス由来の腎臓皮質細胞(S2、CCD、cTAL)を用いた細胞生存率試験および放射性同位元素を用いた基質取り込みアッセイを実施した。細胞生存率試験において、E-CFCPは全ての細胞株で細胞毒性を示さなかった。また、S2細胞を用いて高濃度での薬物の影響を検討した。E-CFCPは高濃度でも細胞毒性を示さなかった。基質取り込みアッセイでは、E-CFCPによる基質取り込み阻害は認められなかった。このことから有機酸トランスポーターはE-CFCPの細胞内輸送に関与しておらず、細胞毒性を引き起こす可能性は低いと示唆された。以上より、E-CFCPは腎障害を引き起こす可能性は低いと考えられた。本薬剤は薬剤耐性HBV患者に対する新規治療薬となることが期待される。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189803008
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-167
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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