ロルラチニブに対するCYP3Aの強い誘導薬の併用投与による肝毒性誘発の検討―カニクイザルを用いた肝毒性発現メカニズムの検討―

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タイトル別名
  • Liver Toxicity Observed With Lorlatinib When Combined With Strong CYP3A Inducers: Evaluation of Cynomolgus Monkey as a Nonclinical Model for Assessing the Mechanism of Combinational Toxicity

抄録

<p>【背景・目的】ロルラチニブ(LOR)は未分化リンパ腫キナーゼに対する強力な低分子阻害剤であり,非小細胞肺癌治療薬として使用されている。健康被験者を対象とした薬物相互作用(DDI)試験において,PXR受容体アゴニストでCYP3Aの強い誘導薬であるリファンピシン(RIF)を複数回投与した後に,LORを単回投与したところ血清中肝酵素の上昇が認められた。臨床DDI試験でみられたLOR/RIF併用投与による肝毒性の潜在的な作用を明らかにするために,in vitroおよびin vivoによる検討を実施した。</p><p>【方法】In vitro試験では,LORおよびRIFの核内ホルモン受容体(NHR)活性化作用,ヒト肝細胞またはヒト肝細胞マイクロティッシュ(MT)を用いたLOR/RIFの共曝露時の細胞毒性またはCYP3A4誘導能を評価した。In vivo試験では,雌雄カニクイザルにLOR単独またはLOR/RIF併用投与後の血清中肝酵素測定および肝臓の病理組織学的検査を実施した。さらに,別のCYP誘導薬またはNHR活性化薬であるフェニトイン,カルバマゼピン,セントジョーンズワートおよびリトナビルとの併用投与後に,同様の評価を実施した。</p><p>【結果および考察】In vitro試験では,腫瘍細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにおいてLORおよびRIFはそれぞれ単独でPXRを活性化し,LOR/RIF併用時では,相加作用を示したがその程度は軽微であった。ヒト肝細胞においてLOR 単独では3 µMの曝露まで細胞毒性を示さなかったが,LOR(≧1 µM)/RIFの併用時に細胞毒性を示した。MTにおいてRIF単独でCYP3A4活性が著しく上昇したが,LOR(1.5 µM)によりCYP3A4活性の上昇は阻害された。カニクイザルを用いたin vivo試験においてLOR/RIF併用投与時にヒトでみられた肝酵素上昇が再現された。さらにLORをCYP3Aの強い誘導薬(RIF,フェイトインおよびカルバマゼピン)と併用した場合にのみ肝毒性が認められた。これらの結果から,臨床DDI試験でみられた肝酵素上昇の発現メカニズムに関する知見が得られ,LOR使用の際の注意に関して適切な方針が示された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293191189901696
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-158
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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