刺激感メカニズムに着目した3次元感覚刺激評価モデルの構築
書誌事項
- タイトル別名
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- Construction of a three-dimensional sensory stimulus evaluation model focusing on the stimulus mechanism
説明
<p>化粧品に含有される一部の化学物質は刺激感を引き起こすことが知られており、それらの受容体として温度センサーのTransient Receptor Potential(TRP)チャネルが報告されている。我々はこれまでに、皮膚末梢神経終末に存在するTRPV1が化粧品に含まれるエタノールや多価アルコール類によって活性化されることを見出している。しかし、従来のTRPV1評価法では、培養液等に溶解する必要があり水溶性成分のみの評価に留まっていた。また、TRPV1等が発現している末梢神経終末は皮膚などの上皮細胞の下層に存在するため、上皮バリア機能を考慮して包括的にTRP活性を評価する手法の開発が望まれていた。</p><p>そこで我々は、アゴニスト感受性の高いTRPV1安定発現細胞とバリア機能を有する三次元皮膚モデルの共培養系を構築した。共培養においては、樹立したTRPV1安定発現細胞をコラーゲン包埋した状態で三次元皮膚モデルと共培養することで、両細胞の増殖性を維持することを可能とした。また、コラーゲン包埋された細胞では、従来のTRP活性評価の指標である膜電位や細胞内Ca2+濃度の検出が困難であるため、TRPV1アゴニスト依存的に放出される因子の探索を実施した。その結果、CCケモカインファミリーの一種であるMCPタンパクがTRPV1活性依存的に放出されることを見出した。これらMCPファミリータンパク質放出は、末梢神経終末が存在するヒト摘出皮膚においても認められ、我々が構築した系が生体に類似した反応性を有している可能性が示唆された。以上より、コラーゲン包埋されたTRPV1安定発現細胞と三次元皮膚モデルと共培養し、MCPタンパクをTRPV1活性指標の1つとして用いることにより、難水溶性物質のTRPV1活性をも評価することが出来ると考える。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), P-237-, 2022
日本毒性学会