化合物最適化プロセスにおけるLiver spheroid assayの適用-Chemical toxicologistの観点から-
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- Tomoya YUKAWA
- 薬剤安全性研究所 化学毒性
書誌事項
- タイトル別名
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- The application of advanced liver spheroid assay to small molecule lead optimization -Chemical toxicology perspective-
抄録
<p>医薬品開発を進める中での化合物中止の主な原因として、非臨床および臨床試験における毒性が大きな割合を占めることは以前より報告されている。したがって、医薬品開発の成功確率を上げるために、創薬の初期プロセスから安全性を念頭に置いた化合物評価や化合物デザインをすることがますます求められている。弊社の過去のプロジェクト解析においても同様の傾向がみられ、また最近では2013年に、Fastigial (TAK-875) が肝毒性により第三相試験にて開発中止になった。過去20年間の弊社化合物中止の主要因となった毒性について調べたところ、肝毒性、心毒性の順に大きな割合を占めていることが明らかとなった。そこでin silico, in vitroアッセイにてこれまで以上に化合物の安全性を評価できるスキームを構築し、すべての低分子プロジェクトに適用して早期にリスクを見出せる体制を整えている。</p><p>例えば肝毒性の評価についてはまずHepG2細胞を用いた細胞傷害性評価により化合物を選別し、引き続きinsphero社のprimary human hepatocyteにより作成したliver spheroidにおいて14日間培養することで評価している。Validation studyとして、これまでに非臨床試験において肝毒性が原因で開発中止に追い込まれた社内47化合物を評価したところ82%の化合物のリスクを検出でき、化合物最適化に非常に有用なスキームであることを明らかにした。また、一方で、実際の化合物のデザインー合成―評価サイクルに14日間培養のアッセイを用いることは創薬化学の観点からは非常に難しいことも自明である。そこで、本アッセイ系の培養時間を短くできないか検討したところ、7日間の培養でも同様の結果が得られることを明らかにした。本講演では、このように肝毒性の回避にむけてin vitro ヒト外挿モデルを適用している取り組みについて紹介したい。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), S26-4-, 2022
日本毒性学会