血液凝固・線溶系に対する亜ヒ酸の毒性発現機構
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- 藤原 泰之
- 東京薬科大学薬学部公衆衛生学教室
書誌事項
- タイトル別名
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- Toxic mechanisms of arsenite on the blood coagulation/fibrinolytic system
抄録
<p> 慢性的なヒ素曝露は、動脈硬化症をはじめとする血管病変の発症・進展に影響を及ぼすことが疫学研究や動物実験により示されているが、その発症機構には未解明な点が多く残されている。動脈硬化症の発症・進展には、血液凝固・線溶系の破綻が関与しているとされる。血管内の線溶活性は、血管内腔を一層で覆っている血管内皮細胞から産生・分泌される組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)とその阻害因子であるプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)のバランスに依存している。今回、私たちは、まず血管内皮細胞の培養系を用いて、亜ヒ酸が線溶系に及ぼす影響について検討した。その結果、亜ヒ酸はPAI-1の産生には影響を及ぼさず、t-PAの合成を選択的に阻害することにより、液相におけるt-PAの線溶活性を低下させることを見出した。この亜ヒ酸によるt-PAの合成阻害には、転写因子Nrf2の活性化が関与することを明らかにした。また、亜ヒ酸は、血管平滑筋細胞およびマクロファージ様細胞が産生する凝固開始因子である組織因子(tissue factor, TF)の発現量をNrf2経路の活性化を介して増加させることも明らかとなった。さらに、亜ヒ酸を投与したマウスでは対照群と比較して血清中のt-PA量が減少することも確認しており、個体レベルでの検討も現在進めている。本シンポジウムでは、亜ヒ酸に曝露した血管構成細胞におけるNrf2経路の活性化を介した血液凝固・線溶系の毒性発現機構についてこれまでに得られた知見を紹介する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), S18-1-, 2022
日本毒性学会