診断に苦慮した僧帽弁逸脱症による片側性心原性肺水腫の一症例

書誌事項

タイトル別名
  • Unilateral cardiogenic pulmonary edema due to mitral valve prolapse with difficulty in diagnosis: a case report

この論文をさがす

抄録

<p>症例は58歳女性。発熱・感冒症状・呼吸困難を主訴に近医を受診し,抗菌薬投与が開始されたが,血痰が出現したため当院へ搬送された。N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(N-terminal pro-brain natriuretic peptide, NT-proBNP)は上昇していたが,経胸壁心臓超音波検査での逆流所見はなく,胸部X線検査では右側優位の浸潤影であることから,うっ血性心不全は否定的と考え,プロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の上昇から肺炎と診断し,挿管と抗菌薬治療を行った。入室3〜4日目にはNT-proBNPおよびPCTは低下したが,酸素化は改善しなかった。入室7日目にNT-proBNPの再上昇と血痰の持続から,心不全とびまん性肺胞出血を疑った。入室15日目の経食道心臓超音波検査で腱索断裂を伴う僧帽弁逸脱症と診断し,入室26日目に僧帽弁形成術を施行した。急性僧帽弁逆流症では片側性肺水腫と血痰を呈することがあり,肺炎と誤診しやすいため注意が必要である。</p>

収録刊行物

参考文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ