長野県の家庭料理 地域の特徴

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タイトル別名
  • Nagano Prefecture home cooking: local characteristics
  • Shinshu traditional vegetables and pickles
  • ー信州の伝統的な野菜と漬物ー

抄録

<p>【目的】長野県の家庭料理の地域の特徴を明らかにすることを目的として、信州の伝統的な野菜と漬物について分析した。本発表では、その特徴を表し、昭和30年頃までに長野県各地で大切に作り継がれていた信州の伝統的な野菜を使った料理と特に漬物について報告する。</p><p>【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施し、その後も継続して長野県内で調査を行った。調査は、主に聞き取り調査で行い、補足調査として電話調査を行った。可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し試食した。</p><p>【結果・考察】標高が高く寒暖差の大きい田畑の多い長野県で、伝統的に栽培されてきた野菜とその料理、特に漬物に注目して長野県の家庭料理の地域の特徴を分析した。菜漬には、全県的に栽培され利用されてきた野沢菜をはじめ、羽広菜、源助蕪菜など地域の漬け菜も用いられていた。すんき漬(木曽:無塩の発酵漬物:開田蕪、王滝蕪、三岳黒瀬蕪など)やこしょう漬(信濃町など)は独特の加工法の漬物である。だいこん漬(上野大根、前坂大根、牧大根、山口大根など)、赤蕪の甘酢漬(赤根大根、保平蕪)、粕漬(鈴ヶ沢うり、沼目越瓜など)、あかたつ漬(木曽、上伊那・下伊那:赤茎の里芋の葉柄の塩漬)などがあった。以前に比べ作る量は減ったと話す人が多かったが、各種漬物が減塩や調味料の多様化などのアレンジも加えて作り続けられていた。漬物以外では、辛味大根(戸隠大根、ねずみ大根、灰原辛味大根など)のしぼり汁がうどんやそばのつゆに利用されていた。地域の現状を踏まえ、長年の生活の知恵から様々に工夫された伝統的な野菜の漬物や料理が、おかずやお茶請けとして家庭や地域の集まりでおいしく食され、地域共有の宝物として人々に愛されていた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293279512283904
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_192
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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