市販トロミ付与水溶液のテクスチャー特性に関する新規手法の検討
書誌事項
- タイトル別名
-
- Examination of a new method for the texture characteristics of thickened liquids with different thickening agents
抄録
<p>【目的】本研究では,トロミ付与水溶液のテクスチャー特性について,ラインスプレッド(LST)法と新規手法であるショートバックエクストルージョン(SBE)法を用いて官能評価に対応する力学的特性について検討した.</p><p>【方法】市販トロミ調整食品は,主原料の異なる4種類(キサンタンガム系2,グアーガム系1,デンプン系1)を用いた.試料は,溶媒(水)にキサンタンガム系・グアーガム系は日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021(とろみ)の「とろみ3段階区分表」,デンプン系はとろみ目安(ポタージュ状,ハチミツ状,ジャム状)に基づく濃度をそれぞれ添加,調製した12 種類を用いた.評価は,官能評価およびLST法,SBE法をいずれも品温20℃にて実施した.</p><p>【結果】官能評価結果は,全ての項目において試料間で有意差(p<0.05)が認められた.LST法の結果は,キサンタンガム系のみLST規格値内であり,グアーガム系・デンプン系は規格値外であった.一方,SBE法からは,得られた粘度関連特性値(降伏値 σ0,粘性定数 K,流動性指数 n)より,トロミ調整食品の添加濃度の増加に伴い,かたく,粘性が増し,官能評価と同様の傾向が認められた.さらに,見かけ粘度を算出した結果,官能特性ごとに異なるずり速度時における見かけ粘度が影響していることが明らかとなった.官能評価値と種々の物性値とのピアソンの相関係数からは,n以外の物性値で良好な相関が認められた.LST法は試料自体の広がりやすさであるのに対し,SBE法は試料の流動特性を踏まえた粘度測定が可能である.本研究より,トロミ付与水溶液のテクスチャー特性評価にSBE法が有用であることを示すことができた.</p>
収録刊行物
-
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
-
日本調理科学会大会研究発表要旨集 33 (0), 20-, 2022
日本調理科学会