和歌山県の家庭料理 地域の特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Wakayama Prefecture home cooking: local characteristics
  • Sushi, <i>chagayu</i> tea porridge, miso and Kinzanji miso
  • ーすし,茶粥,味噌と金山寺味噌ー

抄録

<p>【目的】日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』において、和歌山県では1960~1970年頃までに定着していた家庭料理について聞き書き調査を行った。2016年からの報告をもとに、家庭料理について地域の特徴をまとめることを目的とした。</p><p>【方法】平成25年12月~27年3月に、地理的環境、経済的背景の異なる12地域(橋本、那賀、和海、上富田、大塔、田辺、勝浦、太地、熊野川、有田川、由良、日高)を調査した。調査対象者は各地域2~4名、合計38名、平均年齢72.3±6.3歳で全員女性であった。</p><p>【結果・考察】和歌山県は「すしの国」ともいわれ、地域により魚種、作り方、使われる葉、乳酸発酵の程度などが異なり、多様なすしが作られていた。柿の葉ずし(橋本)、じゃこずし(那賀・紀ノ川)、こけらずし(和海)、鯖のなれずし(有田)、小鯛ずし(日高)、わかめずし(日高)、さいらずし(田辺)、さばずし(田辺)、さんまのなれずし(熊野川)、めはりずし(熊野川)、また、かきまぜ、おまぜは季節の豆や野菜を用い、魚を用いる場合は酢で締めたり、焼いたり、漬けにして混ぜられていた。すしは保存食の意味合いだけでなく、ハレの日の料理で、祭りや正月に食べられていた。一方、ケの料理としては、米の不足を補う「おかいさん」が広い範囲で「茶粥」として食べられ、自家製の番茶、ほうじ茶、ハブ茶などを煮だして米から炊き上げ、時には芋、豆を入れて食べられていた。果実の総生産は全国1位で、みかん、梅が有名で、さらに味噌・金山寺味噌などの発酵調味料も古くから作られていた。家庭料理の「茶粥」に加えて、加工食品、保存食品など、農産物や水産物を様々に利用した丁寧な暮らしが見られた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293279512339328
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_202
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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