脳脊髄液中リン酸化ニューロフィラメント重鎖濃度の上昇を認めたホルスタイン種子牛の小脳皮質変性症の1 症例

  • 川上 佑記
    帯広畜産大学獣医学研究部門 臨床獣医学分野
  • 上坂 花鈴
    岐阜大学大学院連合獣医学研究科 臨床獣医学連合講座
  • 日浅 淳
    JA 士幌町 家畜診療課
  • 中郡 翔太郎
    岐阜大学大学院連合獣医学研究科 臨床獣医学連合講座
  • 古林 与志安
    帯広畜産大学獣医学研究部門 臨床獣医学分野 岐阜大学大学院連合獣医学研究科 臨床獣医学連合講座
  • 猪熊 壽
    東京大学大学院農学生命科学研究科 動物医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Cerebellar cortical degeneration with increased phosphorylated neurofilament heavy chain in cerebrospinal fluid in a Holstein calf
  • ノウ セキズイエキ チュウ リンサンカ ニューロフィラメント ジュウサ ノウド ノ ジョウショウ オ ミトメタ ホルスタイン シュシギュウ ノ ショウノウ ヒシツ ヘンセイショウ ノ 1 ショウレイ

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抄録

<p> 115 日齢のホルスタイン種雌育成牛が歩様異常を呈して受診した.122 日齢時の検査では,自力起立歩行は可能であったが,開脚姿勢,測定過大,強拘歩様,転倒,横臥および後弓反張が認められた.2 週間の経過観察中,次第に横臥時間が長くなり,起立および歩行が困難となり,両側性眼振が発現した.病理解剖では中枢神経系に明らかな肉眼的異常はみられなかったが,組織学検査において小脳皮質ではプルキンエ細胞の脱落と軸索膨大,さらに分子層の空胞形成が認められたことから,本症例は小脳皮質変性症と診断された.本症例の脳脊髄液の生化学所見に著変はみられなかったが,脳脊髄液中リン酸化ニューロフィラメント重鎖(Phosphorylated neurofilament heavy chain: pNF-H)濃度は597.7 pg/mℓであり,臨床上健康なホルスタイン種子牛5 頭の中央値294.7 ng/mℓに比べて高値を示した.pNF-H が神経細胞障害のマーカーとして予後判定に利用できる可能性が考えられた.</p>

収録刊行物

  • Japanese Journal of Large Animal Clinics

    Japanese Journal of Large Animal Clinics 11 (5), 198-203, 2020-12-31

    日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会・九州沖縄産業動物臨床研究会

参考文献 (17)*注記

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