自動車リサイクル部品を対象としたAIによる画像診断システムの構築に向けた実験的検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • An Experimental Study for the Construction of an AI-based Image Diagnosis System for Recycled Automobile Parts

抄録

<p>自動車リサイクル部品の生産プロセスにおいては,使用済み自動車(以下,ELVという)の部品検査は熟練工が目視で検査を行っているため,熟練工への依存度が高く,高齢化,知の伝承,品質のばらつき等の問題が顕在化している。そこで,本研究では,部品検査の一部を自動化に転換することで自動車リサイクル部品の生産プロセスの高度化に資する検討を行った。具体的には,AIによる画像診断システムの導入可能性を検討し,そのプロトタイプを開発・評価した。ある自動車リサイクル部品の生産工場における予備調査を行い,外装部品のうち,ドアの生産・検査工程に要する時間が相対的に大きいことを把握した。また,外装部品の損傷のうち,「擦り傷」の占める割合が大きいことがわかった。そこで,「ドアにおける擦り傷の有無」をAIによって判定する実験的検討を行った。「擦り傷あり」の教師データを240枚,「無損傷」の教師データを100枚,ラベリング処理を施した後に,ニュートラルネットワークモデルで機械学習を行った。その結果,エポック(Epoch)数100のときの損失関数(Loss function)が最も低く,正解率(Accuracy)は,約97%となることを示した。また,「擦り傷」以外の損傷への拡張を検討した結果,500~1000枚の精度の高い教師データを確保することを前提に,「凹み」,「錆び」,「飛び石」等の損傷には,応用できる可能性が示唆された。これにより,全体の約65%の損傷がカバーできることとなる。一方,本システムの実用化に向けた課題としては,精度の高い教師データの収集方法を確立することが挙げられる。AIによる画像診断を行うことを前提としたシステムの高度化を図ることが期待される。</p>

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 35 (5), 276-281, 2022-09-30

    社団法人 環境科学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293589392536960
  • DOI
    10.11353/sesj.35.276
  • ISSN
    18845029
    09150048
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ