An Attempt of Learning Entertainment to Integrate in Multi Fields

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Other Title
  • 異分野融合ラーニングエンターテインメントの試み
  • a story of last princess in takamatsu clan
  • ―高松藩弥千代姫の物語 ―

Abstract

<p>1.目的 </p><p> ポスト・コロナの旅の価値変化について山本(2022)は,「モノからコト,コトからトキ・ヒト」への変化に伴い,旅先への期待が「消費→体験→出会い」へと進化し,もともと観光が教育的意味を内包していることから,「学びの旅の復権」が強まる可能性は高いとしている.さらに,観光客の期待する「体験・出会い」「学び」の重要なアイテムとなる地域の伝統・文化に対するオーセンティシティのニーズも高まっている(秦泉寺,2018).その一方で,和食がユネスコ無形文化遺産登録により保護されたことと同様に,地域の伝統・文化は何らかの保護がなければ継続・伝承が難しい状況にあるものも多い.地域の伝統的なものを残したいと活動するグループも多く存在するが,小規模かつ高齢化している場合が多く,サスティナブルな活動のために必要な情報発信も十分でない.情報発信について梶谷(2015)は,イベントの一つの側面は情報の交流と再生産を可能にする双方向のコミュニケーションメディアであると述べ,イベントの情報源としての役割を示している.</p><p> そこで,地域の異なる分野のグループが融合・協力しイベントを開催することで,これまで交流のない人々への情報発信が可能となり,各々の活動にプラスの効果が生じると考え,実際に開催したイベントを事例としてその効果を検証した. </p><p> 伝統に関する地理学習について伊藤(2011)は,物語性で知の再文脈化が図られ魅力ある地理学習となるとしている.本研究で取り扱うイベント事例も,難しく受け取られがちな歴史や伝統・文化に関する「学び」を分かりやすく印象的に伝えるため,まずシナリオによるストーリー(物語)を作成し,寸劇・食事・トークショーという「楽しみ・娯楽」の要素を取り入れ提供したものであり,「学び×楽しみ・娯楽」=「ラーニングエンターテインメント」と称することとした(図1). </p><p></p><p>2.研究対象と方法 </p><p> 本研究は、2022年6月26日(土)香川県文化会館において実施した,「弥千代姫お駕籠道中『栗林荘の段』」を研究対象として取り上げる.具体的な内容は、高松藩最後の11代藩主松平頼聡公とその正室,大老井伊直弼の息女弥千代姫を中心として,高松の歴史について認識して頂くとともに,様々な伝統・文化・芸術・食に触れ,体験し,楽しみながら学べる2時間半のライブパフォーマンス&食事の催しである(表1). なおこれは筆者が一部の企画と実施に直接関わったものであり,イベント参加者に対するアンケートおよびヒアリングは,アクションリサーチの手法を組み合わせた分析と位置づけられる(中村,2007).</p><p></p><p>3.実施結果および考察 </p><p> 結果として,①異分野融合の効果,②主催者側の目的意識と参加者側の受け取り方(感想)の差異,の2点が明らかになった.以上を踏まえ,①多様な異分野を融合するためのポイント,②観光コンテンツとしての可能性,③活動を継続するための課題,の3点を考察した.</p><p></p><p>参考文献 </p><p>・山本達也・岡本岳大 2022. ポスト・コロナ時代における 「旅」 の価値の変質に関する検討. 清泉女子大学紀要, 121-140. </p><p>・秦泉寺友紀 2018. 観光における食文化の位相と真正性―イタリアを事例として. 和洋女子大学紀要, 59, 13-22. </p><p>・梶谷克彦 2015. 日本における地域イベントの時代変容に関する研究. 日本感性工学会論文誌, 14 (3), 433-442. ・伊藤裕康 2011. 「物語 (り)」 としての 「伝統」 社会科地理学習における伝統の扱い方. 社会科教育研究, 2011 (114), 77-90.</p>

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