殻付きカキのマーケティング戦略

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タイトル別名
  • Marketing strategy of shell oyster
  • カラツキ カキ ノ マーケティング センリャク

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抄録

<p>殻付きカキは,冬季において鮮度をアピールできる数少ない商品であるとともに鮮度保管が平易で,外食等において根強い需要がある。その需要やニーズに応えるべく,岩手県殻付きカキ産地では消費地仲卸業者・卸売業者と連携するとともに,産地一丸となって製品・イメージの最善化を図る努力をしていた。さらに,特有の流通システム構築など県内漁協で互いに競争し,産地としての競争力も高めていた。</p><p>これらのことから,岩手県産殻付きカキ産地は,消費地仲卸業者・卸売業者からの信用を得ることができ,そして,強固なチャネルを築くとともにブランド・ロイヤルティも構築した。</p><p>その結果,仲卸業者等のスイッチング・コストも高まり,産地の長期的な競争優位性も確立していた。そのうえ,ブランド・ロイヤルティによって安定価格,むき身と比較すると高価格が実現され,そのことが産地努力のモチベーションにつながるといった好循環を形成した。</p><p>つまり,長期に亘りマーケットリーダーであり続けた岩手県産殻付きカキ産地は,プッシュ戦略であったこと,そして消費地仲卸業者・卸売業者とのチャネル強化を図る関係性マーケティングを展開した点が優れていたと考えられた。</p><p>そのうえ,岩手県産殻付きカキ・ブランドがむき身カキに拡張し,岩手県産むき身カキ価格は他産地から乖離して高値を維持できている。</p>

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