ミャンマー産シュロソウ属の1 種<i>Veratrum shanense</i> W. W. Sm. (シュロソウ科)の分類と分布域の再検討

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  • <i>Veratrum shanense</i> W. W. Sm. (<i>Melanthiaceae</i>) - A Review of Its Taxonomy and Distribution Range -

抄録

<p>ミャンマーの中東部からシュロソウ属の1種Veratrum shanense W. W. Sm. が記載されている(Smith 1911).後に,中国の雲南省北西部からもこれに類似する同属の2種,V. stenophyllum Diels(1912)とV. yunnanense O.Loes.(1926, 1928),が記載された.中国のシュロソウ属を扱っている最近の植物誌(たとえば中国植物誌14巻[1980] やFlora of China, vol. 24[2000]) では,V.yunnanenseV. stenophyllum と同種として扱われているが,近隣のミャンマー産のV. shanense については全く触れられていない.今回,基準となる標本を含めて資料を比較検討した結果,これらの3 種は基本的性質において一致し,同一種と見なせることが判明した.これら3種が同一種であることは既にZimmerman(1961)によって指摘されており,本研究結果はこの見解を支持する.上記の中国産2 種を包含したV. shanense(広義)は,ミャンマー中東部,中国の雲南省北西部,四川省西南部,および貴州(Tu 1990, Tsi 2002)に分布する.Veratrum stenophyllumV. yunnanense について,レクトタイプをそれぞれ指定した.</p><p> Tsi(1980) やChen and Takahashi(2000) は, 花がやや小型で、葉の裏面の脈上に乳頭状毛が出る1型を変種V. stenophyllum var. taroense F. T. Wang & Z. H.Tsi として区別したが,これらの判別形質にも変異があり,変種として区別するのは困難である.</p><p> Veratrum shanense の個体の花序には通常雄花と両性花の両方がつく(雄花両性花同株andromonoecism).両性花は最頂の総状花序に偏在する傾向があり,完全な雄性先熟(protandry)であることを確認した.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 85 (3), 137-147, 2010-06-20

    植物研究雑誌編集委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293810375290624
  • DOI
    10.51033/jjapbot.85_3_10208
  • ISSN
    24366730
    00222062
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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