アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究I. 広島県帝釈台産の1 新種, タイシャクトウヒレン

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書誌事項

タイトル別名
  • Systematic Studies of Asian <i>Saussurea </i>(Asteraceae) I. <i>Saussurea kubotae</i>, a New Species from Western Japan

抄録

<p>広島県庄原市東城町の帝釈台 (石灰岩地)から1新種タイシャクトウヒレン Saussurea kubotae Kadotaを記載した.タイシャクトウヒレンは茎に翼(ヒレ)があり (Figs. 1-2),総苞片が圧着する(Fig. 3)点でセイタカトウヒレンに似ているが,総苞片が13列と多く,頭花の柄がより長くやや開出気味に伸びるので総状花序が疎らに見え(Fig. 2),一見して異なることが分かる.その他にタイシャクトウヒレンはセイタカトウヒレンと次のような特徴で区別される:(1)総苞は倒卵形で長さ約2cm,(2)下部の茎葉が矛形になること, (3)頭花の柄には小型の苞葉が多数着き,(4)葯は長さ6.5-7mm,(5)痩果は長さ6-7mmである.タイシャクトウヒレンでは茎の翼がさらに著しく,茎の下部では幅5mmに達するほか,総梗にも翼が発達する.また,茎葉の鋸歯もより低平である.</p><p> 広島県帝釈台ではタイシャクトウヒレンとセイタカトウヒレンの2種が同所的に生育することが明らかになった.この2種は花期がずれており(タイシャクトウヒレンの方が早い),両種の中間型が見いだされなかったので種間の交雑は起こっていないらしい.岡山県真庭市の蒜山南麓にもセイタカトウヒレンが知られているが,ここにはセイタカトウヒレンのみが見いだされた.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 82 (5), 259-265, 2007-10-20

    植物研究雑誌編集委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390293810375308032
  • DOI
    10.51033/jjapbot.82_5_9991
  • ISSN
    24366730
    00222062
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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