日本新産の<i>Phaeocalicium polyporaeum</i>(チビピンゴケ科ノミピンゴケ属)
書誌事項
- タイトル別名
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- <i>Phaeocalicium polyporaeum</i> (<i>Mycocaliciaceae</i>, <i>Ascomycota</i>) New to Japan
抄録
<p>Phaeocalicium polyporaeum (Nyl.) Tibell コシカケノムシピン(新称)が長野県上田市(標高1348 m)のアカマツ樹幹に生えたシハイタケの子実体表面に確認されたので,日本新産種として報告する.本種は微小なピンゴケ様の黒色の子嚢果を多数形成し,柄の長さは450–800 µm,子嚢果の横幅は75–190 µm,柄の基部の太さは100–160 µm,柄の最も細い部分の太さは35–60 µmであった.子嚢は円柱形で80–105 × 3.4–5.0 µm.子嚢胞子は長楕円形から円柱形で両端は鈍形,淡褐色,8.5–10.5–14.5 × 2.8–3.7–4.5 µm,おもに1隔壁であるが無隔壁の場合もあった.本種はこれまでに北米を中心にヨーロッパロシアや極東ロシア,コーカサス地方で報告されていた.日本で既に報告されている同属の3種P. compressulum (Nyl. ex Szatala) A. F. W. Schmidt(ノミピンゴケ),P. flabelliforme Tibell(ニセノミピンゴケ,新称),およびP. triseptatum Tibell(ミツカベノミピンゴケ,新称)から本種は胞子の隔壁が0–1で子実体が倒円錐形という点で区別されるが,他種はいずれも樹木の枝や樹皮上に着生するので生育場所からも容易に区別することができる.</p><p> 日本産およびロシア産の試料より得られた塩基配列を比較したところ,両者の間ではITS rDNAで2塩基,nrLSUで1塩基の違いがみられた.ITS rDNAにもとづく系統解析では,日本産試料はロシア産試料およびGenbankにP. polyporaeumとして登録された配列と同一クレードを形成し,種としての独立性が確認された.ただし,Phaeocaliciumはすでに指摘されているように多系統の属であるため,P. polyporaeumの帰属については関連属の分類学的検討もあわせて今後行っていく必要がある.</p>
収録刊行物
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- 植物研究雑誌
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植物研究雑誌 94 (2), 96-102, 2019-04-20
植物研究雑誌編集委員会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390293821444919680
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- ISSN
- 24366730
- 00222062
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可