なぜ所得税と社会保険料の統合,徴収一元化は実現しなかったのか
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- 奥 愛
- 立教大学経済研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Why Income Tax and Social Insurance Premiums Haven’t Been Integrated? Social Security Taxes recommended by the Shoup Mission
- ―シャウプ勧告の社会保障税構想
説明
<p> 本稿は,所得税と社会保険料を統合し,徴収一元化を実現することによる効率化を目指した,1949年のシャウプ勧告における社会保障税に関する勧告を取り上げる。社会保障税が実現できなかった理由について,歴史的制度分析を用いて政策決定過程の分析を行った。その結果,シャウプ勧告の社会保障税が実現しなかったのは,①実務上の手続き問題を理由に,厚生省,労働省が大蔵省と合意できず,さらに労働組合や経営者協会側からも反対意見があったこと,②歳入不足分の財源対応が解決できなかったこと,③当時はドッジ・ラインの影響で「総合予算の真の均衡」という予算方針の制約があり,歳出増につながる予算修正が難しかったこと,が理由であったことがわかった。本稿の分析を通じて,所得税と社会保険料がそれぞれ別に徴収されつつ,社会保険の財源としては両者が用いられる二元的システムが確立したという源流を明らかにした。</p>
収録刊行物
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- 財政研究
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財政研究 17 (0), 134-154, 2021
日本財政学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390293865782396672
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- ISSN
- 24363421
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可